「高校生活」

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武田  ●会社員 (53)

県立ではめずらしい男子校だった。

若い女性と言えば、図書館の司書と理科の助手先生の二人だけ

教室の後ろ側には通学用のズボンがほぼ全員分ぶら下げられている。

私たちは学校に着けばまず教室で通学用のズボンを脱いで教室用ズボンに

はきかえる。

まぁ色気だけは一人前に順調に育っていたようである。

なにせ男だけの学校だから、あっさりしている。

余計なことは考える必要もない。

男子だけの閉鎖された環境がうまい具合に機能していたのだろう。

それと忘れてならないのは先輩の存在である。

新一年生になった途端のこと、教室に先輩達がなだれ込んできた。

応援団部員達であった。

「窓を閉めろ。」「目をつぶれ。」我々に対する説教が始まった。

そしてある時は昼休みに一年生全員に集合がかかった。

プールサイドの観客席に全員集合である。

そこで学校の応援歌を歌わせられた。

そして大きな声で歌える奴は解き放たれる。

私は声だけは大きかったので、早々と解放された。

かわいそうなのはおとなしいタイプの同輩達。

なんども歌をやり直させられていたようである。

ただ校風としてはおおらかな所があって

変ないじめもなく楽しい高校生活だった。

私の中ではあの時代はあの時のまま時計の針も止まってはいるが、

まぁみんなもいい年を取っているんだろうなぁ。

 

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