政治の世界

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 鹿島 保●会社員(48) 

私が大学での政治学の講義にはじめて出席した時、教授が最初に言った言葉は今でもはっきりと覚えている。
それは、「政治学を学ぼうとするなら皆先ず恋愛をしてみたまえ。」と。
続けて教授はその意味について解説してくれた。
政治はすべて結果である。
恋愛もすなわち結果である。
いい思い出だったなどと懐かしんだところで、失敗はすなわち失敗でしかない。
どのような手を使おうと勝ち取った方が正に勝ちである。
政治も然り。
プロセスよりも結果である。
教授の言葉に意を強くしたわけでもないが、私はもっぱら恋愛の方に傾注しすぎた帰来はある。
そんな思いで今の政治の世界を見渡してみると、結果よりもプロセス、いや弁解ばかりである。
それも保身に走る醜き姿がやたらと目に付く。
潔さなど微塵もない。
よくも平気で言えたものだと、感心することの多いこと。
公約なんぞはその場限り。
当選した途端にどこかに置き忘れている。
せめて言ったことの少しぐらいは頑張っても罰は当たるまいに。

自分たちの権益を守る仕組みだけは立派に構築してきただけあって、今の支配体制はなかなかと言っていいほど、打ち壊せるものでもなさそうだ。
民意の反映など覚束ない。
多数決を民主主義と勘違いしている輩の多いのにも嘆きすら覚える。
支配する側とされる側。
その関係はいつになっても変わることはなさそうである。
結果を出せないツケはいつも支配される側に付け替えられるのである。