武蔵の剣法

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語り部   ●会社員(50)   

横綱朝青龍の行為に対し厳重注意が課せられた。
横綱の品格というやつに対してである。
私もその場面をスポーツニュースで見ていたがとっさにチャンネルを切り替えた。
あまり見たくないシーンだった。
敗戦は敗戦でしかないからである。
日本はもとよりモンゴルからの声援を受けて横綱にかかるプレッシャーは大変なものだとは思う。
しかし武蔵と小次郎の故事にもあるようにあの日の横綱は完全に相手にかく乱されてしまったようだ。
相手の手のつくのが遅いと言ったとか。
それも戦法のひとつかも知れない。
あの小次郎は約束の刻限に一時も遅れてきた武蔵に対し勝負のまえにすでに負けていた。
勝負のまえにすでに小次郎はいきり立っていた。
武蔵の術中にはまったのだった。
そして武蔵の口から駄目押しの一言が発せられた。
小次郎敗れたり、それがすべてを語り尽くしている。
ゴルフの世界でも聞く話である。
大物ゴルファーと一緒にラウンドするとき、精神的な嫌がらせのなかでそのプレッシャーとも闘わないといけないのだと言う。
ある意味当然であろう。
勝負はティーアップのまえにすでに始まっているのである。
まだまだ若い横綱である。その成長を念じていたいと考える。