88川崎球場最終戦

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ハリマオ  ●会社員(48)

ロッテ対近鉄最終戦9回裏、シーズン最後の守備につく近鉄ナイン。
守りについた近鉄の選手の表情をカメラが追っていた。
それもそのはずである。
その時点で近鉄の「勝ち」は無くなっていたのだった。
その日はダブルヘッダーで2試合目の延長は無くなっていた。
勝ちがなくなった時点で、近鉄のシーズン優勝も無くなっていたのだった。
優勝の目が無くなった選手たちはうつろな表情を見せていた。
そんな中内野の守備についた大石選手の表情だけはいまだに思い出せる。
キャッチャーの梨田が最後の声をかけた。
もうその試合に「引き分け」ようと「負け」ようと、近鉄には優勝はなかったが、選手達はプロとしての最後の意地を見せようとしていた。
あまりにも辛いシーンだった。
近鉄の選手たちの思いを考えると誰をも感動させるシーンでもあった。
反響は全国に波及した。
あんな試合は今まで見たことが無かった。
テレビじゃ見れない川崎劇場というCMまで流れた時期があった。
その川崎劇場を舞台に88年10月19日全国の野球ファンの目を釘付けにした一大ドラマがそこにあった。