「好い加減」と「いい加減」

《PR》

おやじⅡ世  ●自営業(55) 

この言葉を「おん」として表記する限りでは、区別はつかない。
アクセントの違いで判断するのみである。

人間関係における両者の違いは天と地の差がある。
好い加減と言える関係になるまでには、お互いの努力が必要である。
その努力を引き出すのは互いの好意に基づくものと考える。
好意すら持てない関係では努力を引き出す原動力を見い出せない。
互いの「間」(ま)の取り方は育ってきた環境により少しずつ違うもの。
半歩前に出過ぎたり半歩下がってみたりと
互いの収まりどころを模索する。
収まりどころが分かって来たところで
ひとつの人間関係ができあがる。
それはもう互いのあいだに安心感をもたらすものとなる。
ここまで来るとそうそう誤解というものも発生しない。
出てきたところで、互いの中で解消できる。
そんな関係は大切にしたい。
人間のこころほど、いい加減で揺れ動くものはあるまい。
好い加減の関係の中でさらに信頼の気持ちを醸造していく。
その過程で互いが成長していく。
人間は一生のなかでそのような関係をどれほど作っていけるのか。

好い加減な人間関係を作るまでに至らず、
いい加減な人間関係のままに放置しておけば
いつまで経ってもこころは空ろなばかり。

新しい世紀に入って改めて考えさせられる。
ITも悪くはない。
でも21世紀こそ、原点である「こころ」に回帰すべき時であると。