斎藤大輔 ●無職 (61)
確か維新の志士吉田松陰が言った言葉と記憶する。
この言葉は松蔭に限らず、子を持つ親なら誰でもが
自分の若い頃の親不孝を恥じながら、そのことを
痛感することが一度や二度はあったと思う。
あの時もう少し親の言うことに耳を傾けていればとか
感じたことはないだろうか。
そう言う私もその時は、まるで一人で大きくなったかの
ように、そんな親の話をうるさい思いで聞いていた。
ただ自分の子が大きくなっていく中で
その子を見つめるのと同じ目で
親も自分のことを見ていたんだと思いついた時
この間の不孝を恥じる気持ちで一杯になった。
気を揉んでいた親の気持ちが今になって初めてわかる。
どうすればこの気持ちを子に伝えられるのかと
考えあぐねる毎日である。
それにしても、「親という商売(?)」ほど割の合わない
ものはない。
たぶんこうやって親から子へ、子から孫へと
このことだけは順送りに受け継がれて行くのだろう。