山根青眠 ●会社経営
ある年の広島市民球場での試合前のことだった。
始球式に臨むのはカープのユニフォームに身を包んだ小さな男の子だった。
その子の顔を見ればすぐにそれと分かる男の子だった。
それは炎のストッパー津田投手の長男君だったのだ。
お父さんそっくりのその子の姿を目の前にして私たちは涙を禁じえなかった。
広島のストッパーとして激しく燃え、そして去っていった津田投手の姿とダブって見えたのだった。
広島市民球場のライト側投球練習場の柱に津田投手のプレートが打ち込まれているはずである。
市民球場の移転問題が取りざたされているが、新球場建設にあたってもぜひ津田投手への思いを球場のどこかに記しておいてほしい。
私たちが彼を誇りとしてきたことを永く語り伝えるために。