「帰省の風景」

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古時計  ●会社員(47)

新幹線から在来線へ乗り換えのためホームに降り立った時、「帰ったよ!」との子供の元気のいい声が後ろの方から聞こえてきた。
その声に誘われるように振りかえってみると、そこには緑の公衆電話の前に立つ親子の姿があった。
「帰ったよ!」の声の主は小さな男の子だった。
父親が差し出す受話器に向かって背伸びするようにして叫んでいたのだった。
その電話の先にはおばあちゃんかおじいちゃんがいるのだけは容易に想像できた。
そこから二つ目の駅で私は降車し、改札口を通り抜けた。
ふと目をやるとそこには先ほどの親子がおじいちゃんとおばあちゃんの出迎えを受けていた。
孫を囲んだその空間が本当に幸せで微笑ましく輝いていた。
一人家路に急ぎながら幸せってああいうのを言うんだと私も幸せな気持ちにさせてもらった一日だった。