「青函連絡船」

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sato(男)  ●会社員(45)

彼のあとを追ってわたしもデッキに立っていた。
朝の陽のひかりがまぶしかった。
遠くに函館のみなとが見えていた。
船のまわりにはたくさんの漁船が遠巻きに浮かんでいた。
寒いんだね、中に入ろう!そう言ってわたしは彼のコートの袖を引っ張った。
昨日の晩ふたりで包まっていた毛布にもう一度もぐりこんでいた。
しだいにうとうとして行くなかで床の下から伝わってくるエンジン音が心地よく二人を包んで行った。