「静かに時間だけが流れて」

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サトウ   ●会社員 (44)

いつも二人で行くお店があった。

決まってカウンターの端に二人で座った。

マスターは気を使って、いつも黙って水割りをそっと出してくれた。

薄ぐらいお店のなかで、彼女の白く透き通るような横顔だけが今も僕の記憶の中で生きている。

上品に刻み込まれた彼女の横顔にそっと目をやりながら、グラスを口元まで運んでいった。

二人の目線が絡み合うのを互いに感じながら、静かに時間だけが流れて行った。