山根青眠 ●会社経営 (53)
子供たちも大きくなりお陰で夫婦のなかもうまくいっていたかにみえたここ数年。
今度は息子の結婚問題が夫婦の新たな火種になろうとしている。
息子が納得して選んだ相手ならなんの問題もないとただただ喜ぶ私とは嫁さんの反応はどうも違っているようである。
同姓の息子のことだから私にはただ嬉しさしか感じないのだろう。
一方嫁さんにしてみれば同姓の相手との闘いが始ったばかりというところなのだろうか。
思い起こせば私が今の嫁さんと一緒になる時、おふくろは確かに最後まで反対していた(このことは嫁さんにはいまだに内緒のことではあるが)。
おふくろにはその頃別の嫁さん候補がいたのは私も知っていた。
私が小学生のころに一度会ったことのある女の子がその候補者だったのだった。
母親同士で半ば約束していたのを大学3年の時聞いたことがある。
今から考えれば就職でも親父の誘いを断って民間に就職した私だし、嫁さんもおふくろの奨めを断って自分で決めた。
若い時は何かにつけて親とは対峙してきた私だったが、30才ころから親の言うことを聞いていればと思うことがけっこうあったような気がする。
しかし私もいい年になったこのごろでは(老いては子に従え)ではあるまいが親父のほうが一歩引いて話を聞いてくれるようになった気がしている。
親がやってきたことをまた同じように息子もそのまま歩んで行くのだろうと思いながらも行く途が私よりは穏やかであることを願ってしまう。
親子の情もこうして受け継がれていくのだろう。
いろいろあっても家族とはかけがえのないものと言うことである。