一寸法師 ●会社員 (39)
本当に久しぶりに聞くポケベルの音だった。
前を歩く人の腰あたりからなつかしい響きが聞こえてきたのだった。
昔営業マンなら誰でも腰のベルトあたりに装着していたものだった。
あれから本当に世の中また大きく変わったものである。
今では携帯電話が当たり前。
世の中もすでに個と個の時代になり、そんな時代を反映して携帯電話は爆発的に普及した。
そこまでなら結構な話ではあるが、どうもその先がいただけない。
電車のなかで平気な顔して着信音を鳴らしてみたり迷惑な会話が聞こえてくるのはどういうことか。
まわりに配慮する気などまったく持っていない人種が増えたのも事実である。
そんな行為を注意でもしようものならどんな逆切れに会うかも知れない。
本当に情けない時代になったものである。
こんな時代の軌道修正、どうしたらいいのだろうか。
これからも物だけは進化しつづけるのだろうが、その進化に人間の頭はどこまで付いていけるのだろうか。
今の調子ではその差は離され続けるだけのような気がしてならない。
それが杞憂に終わることをただ念じておこう。