山根青眠 ●会社経営 (52)
「いい人だね。」
そう言われたら、ナメラレテいると思いな。
昔の先輩の言葉であった。
確かにいい人はいい筈ではあるが、それは相手にとって都合のいい人で あった。
その「都合の」と言う言葉がただ抜け落ちているだけの表現であった。
それは考えすぎと言う人も当然いると思う。
男女平等の時代に似つかわしくないかも知れないが、男は一旦家を出た ら、そこは戦場である、そんな何とも勇ましい表現があった。
たぶん今でも気持ちは一緒だと思う。
身のまわりにも確かにその「いい人」は結構いるものである。
そんな人たちを眺めながら、たぶん自信が持てないからなのだろうなと、 余計な事を考えてしまう。 自信と言うものは闘いの中から、自分の手で勝ち取って行くものである。
そのいい人たちは闘う前からそれ自体を放棄しているのだろう。
だから一見いい人でも本当のところは本当の人間の思いなど分かってい ない。
その悪循環がさらにいい人を作って行く。