山根青眠 ●会社経営 (52)
初めてタバコを買ったのは、大学2年の時。
浪人していたから、年齢的には20才の時である。
いまでもはっきりと覚えている。
下宿の近くのタバコ屋で、「エコー、ください。」
と言った時の何とも言えない興奮はまだ記憶の中にある。
そう考えていて思ったのだが、当時はまだ自販機などなかったのだろう。
ただ両親の前ではさすがに気が引けたのだろう。
吸ったことはないと思う。
今の大学生がどうなのかよく分からないが、当時はゲームもなかったはずだし、テレビはあっても特別見るわけでもなく、とにかく友人と議論に花を咲かせたものである。
だからお互いに下宿を訪ね歩く事になった次第で、その時によく持参したのが、コーラとハイライトだった。
今から思うと、どうしてコーラとハイライトなのかよくは分からないが、それが仲間内の礼儀みたいになっていた。
とにかく何時間でも議論した、それでも足りなくてお腹も空いて来ると夜の屋台にもぐり込んで、今度は
コップ酒とタバコでまたまた議論の花を咲かせるのである。
当然勢いあまって夜が明けるまで、それは続いたのだった。
外の屋台でなら他人にそんなに迷惑はかからなかったはずだが、下宿で朝まで議論でもしようものなら、翌朝大家さんにもお叱りを受けるは、近所からもお叱りを受けるはで、大変だったわけである。
どんな議論に花が咲いたのか、タバコの煙と一緒にどこかに消えうせてしまったが、まぁあれが私らの青春と言うことになるのだろうか。