人気者 ●会社員 (51)
後輩からは年寄りの冷や水と言われた。
大学3年で年寄りとはひどい言い方ではあるが。
大学3年の時、ワンダーフォーゲル部の100キロ走にオープン参加した。
別に特別な考えがあったわけではない。
単なる軽い乗りからである。
友人3人も一緒だった。
ただ2年の後輩たちからは、無理しない方がと、暖かい声がかかっていた。
確かに日頃特に体を鍛えているわけでもないし、自分でもどうなるかなんて考えもしなかった。
まあどうにかなるでしょと言うのが正直な気持ちだった。
スタート地点を夕方6時に発し、100キロ先のゴールに翌朝10時までに到着すること、これが我々オープン参加者に課せられた目標だった。
彼女が作ってくれた夜食用のおにぎり弁当と水筒を背中のバッグに入れて、長い闘いが始まった。
後は夜の国道をただひたすら走るのみ。ところが私は不幸にもスタートして1時間後大き目の石を踏んでしまい転倒。
その時右ひざを傷めてしまい、それからは走っては歩きの繰り返し。
最終的には目標の時間内にゴールすることはできた。
それから2日間私の足はまさに棒となっていた。
ズボンをはく事すら一人ではできなかった。
あの2日間やさしく手を貸してくれた彼女にお礼を言わないといけないだろう。