「転校生」

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市田   ●会社員 (38)

父の転勤の関係で、小学2年生のときから転校が始まった。
もともとがおとなしい性格だったこともあって、人の輪の中に飛び込んで行くのが不得手だった。

転校の度に、学校の勉強の進み具合は違うし、子供社会のルールも色々あって、少しだけではあるが慣れるのに苦労した思い出がある。

子供社会のルールで言えば、田舎の学校では都会では経験しなかったピラミッド型組織が出来上がっていた(但し、上層部?だけではあったが)。

とにかく小学6年生のボスがいて、とにかく喧嘩が強くて、その周りを囲むように手下がいたりして。
まあ一般生徒には普通にやってる分にはあまり影響はなかったとは思うが。

それがある時ボス側と一般生徒の二派に分かれて、体育館の裏で喧嘩となったことがある。
正に天下分け目の闘いであった。勝敗は数に勝る一般生徒が勝ち、その後ボスの権威は地に落ちたのであった。
ただその時も、私は転校して行ったばかりで、転校生であることを理由として、その闘いには参加させてもらえなかった。
もちろん、一般生徒側派として。
ホッとした気持ちと何とも言えない気持ちが錯そうする中で一人その場を後にした記憶がある。