なおゆき ●会社員 (50)
蒸し暑さのなかを歩いていた時だった。
あるラーメン屋の前を通り過ぎようとしていた時、突如熱風が襲ってきた。
別に不思議なことではなかった。
ただエアコンの室外機がそこに備え付けてあり、室内の熱を外に放出していただけのことである。
その熱風にあたって、ふと思ったことがある。
今では室内の熱を外に排出するのは、別に当たり前のことになっている。
でも昔は違っていた。
日本の住まいは自然を取り入れる形の造りになっていた。
うる覚えではあるが、確か冬の寒さをしのぐ事を第一に考えた造りであってさらに夏の暑さをしのぐ為の工夫をしていたように聞いたことがある。
今ではコンクリートで固めた家が増えて中と外を完全に遮断するのは常識である。
自然を遮断するか、取り入れるかその発想の違いには大きなものがある。
コスト、材料等やむを得ない事情は当然あるが、外に排出された熱が、都会の夏をさらに暑いものにしているのは確かである。