南眞次 ●会社員 (47)
息子と話しているうちに昨今の恋愛事情について話が及んだ。
まあちょうど息子も恋愛かそれ以前かはともかく女の子と付き合っているようであるし、私は自分が若かった頃の話を始めた。
私が学生の頃は女の子に電話するにも、先ず超えねばならない障壁があった。
当然携帯電話なんてものはないから、彼女の家に電話を入れる。
そこで電話にでてくるのは彼女のお袋さんであったり親父さんであった。
気の小さい自分としてはかなりの緊張感のなかで、電話がコールしている何秒間か、神にも祈る思いであった。
恋愛以前に彼女に接触するだけでもなかなか大変な時代であった。
自ずと電話より時間はかかるが、ある意味確実な方法として手紙を書くことが多かった。
歌の文句ではないけれど、会えない時間が愛を育てたのかも知れないと、私自身勝手に話をまとめてしまった。
息子がどう思ったかは別として携帯電話の出現で確かに恋愛事情も間違いなく変化して来たのも事実であろう。