太田雅史 ●会社員(55)
小学生の頃の思い出、それはいつも2学期があと2・3日後に
迫り来る夏休みも終盤になってのこと。
休みの宿題をまったくやってなかった為に、その2・3日は
宿題のために費やされることとなるのが常であった。
さらに最悪だったのは厳格な父の監視のもと、いい加減な
回答は許されず、答えが違っていればその場で書き直させられた
思い出である。
外では友達が休み最後の遊びにと、声をかけてくれていても
断るしか手がなかった。
そんな光景のなかにいる自分が情けなくて、そしてそれよりも
外で皆と遊びたくて、あれこそは正に自己嫌悪そのものであった。
夏休みの殆どを楽しく遊んだ思いでの何もかもが、その2・3日の
ために吹っ飛んでしまっていった。
そして何故か懲りる事もなく、その光景は毎年同じように見られる
こととなっていったのだった。
夏休み、宿題がなければもっと楽しいものだったのかも知れない。