小説にはいろいろなお医者様が登場しますが、この方は5本の指に入る名医だといわれています。
イン・ザ・プールとは?
奥田英朗さんの短編集で2002年文芸春秋社より出版されました。
『精神科医伊良部シリーズ』の第1作です。
第127回直木賞候補となりました。
この作品で颯爽とDr伊良部が登場します。
2005年松尾スズキさん主演で映画化されています。
イン・ザ・プールの奥田英朗さんとは?
奥田英朗(おくだひでお)さんは、構成作家などをされたのち、『ウランバーナの森』で作家デビューされています。
2002年『邪魔』で第4回大藪春彦賞を受賞されました。
2004年このDr伊良部第2作の『空中ブランコ』で第131回直木賞を受賞されました。
2作目でついに……おめでとうございます。
2007年『家日和』で第20回柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で第43回吉川英治文学賞を受賞されています。
精神科医・伊良部シリーズは『イン・ザ・プール』『空中ブランコ』『町長選挙』の3作です。
『最悪』『真夜中のマーチ』『純平、考え直せ』『我が家の問題』など多数の作品を発表されています。
舞台化、映像化された作品も多く、またDr伊良部は漫画にもなっています。
イン・ザ・プールのあらすじ・登場人物
伊良部総合病院は日本医師会の理事という超偉い医師が経営する由緒正しい総合病院です。
その由緒正しい病院のなぜか地下に神経科の診察室はありました。
診療するDrは精神科医伊良部一郎(松尾スズキ)
跡取り息子です。
色白でかなりポッチャリ体形、第一印象は変な人です。
超セレブなので愛車は黄緑色のポルシェです。注射が大好きで、患者さんにはまず注射します。
医師なのに不潔っぽく、髪はぼさぼさ、フケが出ています。
診察の補助はマユミ(MAIKO)
看護師です。
美人でスタイル抜群ですが、不愛想です。胸や太ももを大胆に露出したナース服を着ています。
この二人が待ち受ける神経科に5人の患者が訪れます。
「イン・ザ・プール」大森和雄38歳(田辺誠一)
出版社勤務です。
寝ていると呼吸困難になるし、昼は下痢をするし、と体調がすぐれません。伊良部総合病院を受診、検査しましたが原因不明でした。地下の神経科に回されます。いきなりセクシーなマユミ看護師に注射され、見た目もしゃべり方も変な伊良部医師の毒気に当てられてしまったようです。伊良部Drに運動を勧められプールに通い始めます。次第にスイミングにのめり込み、ついには仕事中もプールで泳ぐことばかり考えてしまいます。これはプール依存症です。プールに通いだしていると、なぜかDr伊良部が「えへへ、来ちゃった(*´σ-`)エ」と、こちらも大森に負けず劣らずのプール依存症ぶりを発揮していきます。大森の体調不良やプール依存症はなおるのでしょうか?
「勃ちっぱなし」田口哲也35歳(オダギリジョー)
サラリーマンです。
色っぽい夢から目覚めたら、気の毒に広辞苑が棚から落ちてきて股間を直撃してしまいました。田口の股間は題名のようになってしまいました。伊良部総合病院の泌尿器科を受診しましたが、なぜか神経科に回されてしまいます。いきなり股間を膝蹴りしようとする伊良部(ノ゚ο゚)ノ
「コンパニオン」安川広美。
コンパニオンです。
誰かに尾行されている気がしています。不安で不眠になっています。友人のすすめで神経科を訪れました。伊良部はボディガードでも雇えば、とアドバイスしながらも自分がただでやってあげようか、と何ともいやらしく言います。その後広美はストーカーの目がどんどん増えてきたように思います。
「フレンズ」津田雄太高校2年生。
携帯中毒です。
片時も携帯を手放せません。どんなことでもメール、毎日200通は越えています。10分携帯から離れると左手が震えます。両親が心配し神経科を受診しました。ところが、携帯を持っていなかった伊良部は雄太に影響されて携帯を買いました。やたらと雄太にメールをしまくります。雄太は心底うんざりしてきます。
「いてもたっても」岩村義雄33歳。
ルポライターです。
タバコの火の始末の確認がやってもやっても止まりません。自分で強迫神経症ではないかと思い受診します。ところが、伊良部は岩村がルポライターと知り、ろくに話をきいてくれません。ライバル病院の悪口を記事にしてくれとしつこく迫ります。岩村の病状は悪化しだします。
イン・ザ・プールの感想
病院で外来が地下にあるって、あまり聞いたことがないのですが、見て納得です。
Dr伊良部が1階の外来フロアをウロウロしてたら、信用問題ですもの。患者さんに多大な不安を与えますもの。
これは、あまり人目につかない地下に閉じ込めておくしかないですね。日本医師会の理事である父の判断は正しいです。
Dr伊良部につけたマユミナースもしかり。セクシーすぎて目の毒ですから。Dr伊良部は中年になったパタリロ殿下、マユミナースは峰不二子から愛想を取り除いた姿がイメージされてしまいました。読んでいる間はずっとその絵が動いていました。
伊良部は治療らしいことはしません。できませんのまちがいでしょうか。
ただ、患者さんにシンクロしてしまうようで、病院を離れても患者さんの周囲で怪しげに動き回っています。
患者さんのことを考えているようには思えません。己の欲望のままに動いているようです。
それなのに、最後はハッピーエンドです。この展開もパタリロのようです。笑いが止まりません(‐^▽^‐)。
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≪まとめ≫
この本は 電車の中など人前では読めません。
ニヤニヤしたり(・∀・)怪しい人と思われます。
『空中ブランコ』も合わせてどうぞ。