hide コラムニスト (24)
先日「ダービー」と呼ばれる、俗にサッカー用語として使われる「隣町同士が互いの誇りをかけて戦う試合」を観戦した。
今回の「ダービー」はマスコミに何かと取り上げられることの多いザスパ草津と、栃木SCによる「北関東ダービー」だった。
試合は元Jリーガーがメンバーの大半を占める草津が3点を早々と奪う展開となった。
しかし海外では結果いかんでサポーターが暴動を起こす「ダービー」では負けは許されないと、試合終了間際に栃木が3点を一挙に返し痛み分けに終わった。
試合は両チームの意地の張り合いから白熱したものとなり、訪れた観客はさぞかし満足感を味わってスタジアムをあとにしたことだろう。
また運営サイドとしてもJFL(J1、J2リーグの下にカテゴライズされているアマチュア組織)としては異例の3千人を集められたことで驚きと達成感を得られたに違いない。
しかしその裏には財政面で厳しいJFLの現状を承知して、運営がスムーズに行なえるように手弁当で環境を整えていた方々の存在があったことを忘れてはいけない。
当日開催されたスタジアムは駅から少し離れていたため、お客さんが迷わず目的地へ辿り着けるようにと看板を目抜き通りはもちろんのこと、狭い路地裏にも掲げていた。
また地方都市=車社会ということを十分に理解し、スタジアムの駐車場以外にも近隣の小、中学校のグラウンドを臨時開放してもらい、より多くの人に足を運んでもらおうと手配を怠らなかった。
2002年の日韓ワールドカップで日本が得たものはベスト16という実績と共に、ボランティア精神なのだと改めて感じた。
2年前に育まれた精神はワールドカップが開催されていない都市のスタジアムにも根付いており、さらに年を重ねる毎に成長していくのではないかと思った。
そして素晴らしいひとときを訪れた御客さんへ、ベストな環境を選手達へという思いは、この上ない日本の財産であるとも。
スタジアムに集う人々。
そこには試合を観戦に訪れる人達だけではなく、試合を支障無く運営していこうとする人々も含まれている。