山田元気 ●学生 (21)
小学6年の運動会
5年生まで一度だって3位入賞なんて
経験したことはない。
いつも後ろから数えた方が早かった。
小学校最後の運動会である。
確かその時の徒競走は能力別のクラス分けになり、
私にも入賞の可能性がでてきたと感じたと思う。
スタートの号砲により走り出した。
中盤まで走ってきて、今までとは様相が違ってた。
自分の前に人が見えない。
と言うことは、自分がトップ。
あとは周りのことなど何も見えないまま、ゴールへ。
初めての一等賞である。
競技係の人から、一位のリボンを袖のところに付けてもらった。
その時の喜び様はたぶん他人には想像できないと思う。
両親だってどうせいつものようにドベだと思ってるから
応援にも来ていない。
と言うより、見るに忍びなかったのだと思う。
内容はともかく一位は一位である。
でもこの一位の経験が次につながって行くとは私にも想像できてなかった。
実際には中学生になってからの私は運動会のクラス対抗のリレーでアンカーを
務めるまでに開花。
その時は父親がカメラを持って第3コーナーの所で写真を撮ってくれた。
アンカーの赤いたすきをつけて走る姿には小学生の頃のドベを走る姿など
たぶん誰にも想像できなかったと思う。
それにしても一つのきっかけで自分があんなに変われたとは。
これに限らず色んなきっかけが自分の転換点になっていたと思う。