安藤澄夫 ●会社員(41)
私の知ってるかぎり、わが母校は夏の甲子園に3回出場している。
私が高校現役の頃ではなくて、卒業後のことである。
あれだけ現役の頃、応援したがいつも甲子園手前で敗退していた。
それが社会人5年生の頃だったか、テレビ画面の向うにわが母校の後輩野球部員達が躍っていた。
ただし、試合のほうは、一たまりもないと言った感じで初戦で敗退した。
選手達はカチカチに固まっていた。
平凡な飛球も、足が動かなければ、取れるわけはない。
わが母校の校風は、確かに田舎の高校らしく、おっとりして気のいい雰囲気ではあったが、それが一挙に甲子園と言う大舞台なのだから、カチカチに
なっても不思議ではなかろう。
外野フライを大きく万歳したシーンは可哀想だったけど、甲子園が彼らにとってどれだけ大きかったか、想像はつく。
涙で悔しさをどれだけ流すことができたのか、あの舞台に立った選手にしか、それは分からない。