わからない

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TAISA


世の中には、わからない事が多い。

高校生の頃の話である。

クラスメイトのマトリョーシカAZUSAが
『N先生!!またタイサが私の事を見ています。しかも朝から』などと
2億%無い嘘をホザキだし、色んな意味で被害の的になったものである。

N先生も『そんなことはありえません。貴方を観たら、確実に失明します』とは
立場上言えず、すぐに私を日本語研究室に呼び出したのだ。

日本語研究室には、毎回『毒舌女帝のHさん』という教師がいる。
生徒が『自殺したい』と言えば、、。

「正解!!」

「間違いない判断!!」

「貴方は利口です」とまで言う人である。

私はこの人が、生徒に授業をしているところを3年間で観たことがない。
むしろ人が怒られている所を笑いながら観てお金を貰っている御方である。

※「笑」という漢字の生い立ちは人の笑顔から製作されたらしいが
Hさんが笑うと「魔」という文字になる。

BUT しかし マトリョーシカのことで怒られると
誰でも思うかも知れないが、実際はマトリョーシカの「マ」の字も出てこない。

私は教師からカッコイイという理由ではないが、目をつけられていたのでN先生はマトリョーシカをダシにして最近あった学校の事件の真相を尋問してきた訳である。

「いつ」「どこで」「誰と」「誰が」「何をした?」とね。

でも私でも知らない事件ばかりなので
「わかりません」と正直に話すと
横で観ている、Hさんが普段はしない真面目な顔で
「そろそろ、退学してくれないかな?」と
高校3年生の私に言ってくるのである。

なので記憶に無い事件を思い出そうと
10MBの頭の中身を総動員させて、考えていると
机の上にコーヒーとお菓子が置かれるのだ。

刑事ドラマのカツ丼と同じである。

それでも黙っていると、お菓子がエコール・クリオロの
ケーキに変わり、コーヒーがロイヤル・コペンハーゲンの紅茶に変わるであろう。

だが、育ち盛りの私は我慢を知らない年頃なので
まんまとN先生の方程式にハマリ、有ること無いことを全て白状した。

「U君やT君、A君もいました」とね。

そうすれば、大人たちは信用してくれる。

部活を頑張っている子や学校のシキタリに貢献している子を並べると
「それは100%嘘!!」とバレてしまうが
ブラックリストに載っている愚民の名前を
出せば「あのカスなら間違いない」と信用してくれるのだ。

In short つまり 大人騙しである。

あれから5年経った今日も、知らない事件で
プロデューサーに呼び出しを受けている。

BUT でも スパゲティーを廊下に撒き散らしたのは
私でもワカラナイ。